四国の水を巡る醜い争い
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一昨年、当地ではウン年ぶりという水不足を四国で体感しました。
なんでこう、水不足になるのか調べてみたら、めちゃくちゃおもしろい話なんですね。これが。

讃岐うどんで有名な香川県ですが、なぜうどんが有名になったかというと、もともと水不足の土地だからなんだそうです。

香川県は地中海性気候で雨が少なく、また、大きな川もないので、大昔から水不足による食料飢饉に悩まされていたそうです。
それを見かねた空海弘法大師が 「讃岐は水がねーんだからおめーらは米作って食う資格ねーんだよ!オレが中国からうどんという食べ物を教えてやる。
小麦は水がなくてもできるんだから、うどんでも食っときゃいーんだよ。おめーらは」と中国仕込のうどんを伝授したのが始まりだそうです。

で、現代でも水が足りないわけで、これを打破しようと四国隣県を巻き込んだ一大プロジェクトがスタートしたわけですね。

香川の県の山の向こうの徳島県には吉野川・別名四国三郎という日本でも有数の大河が流れております。
水量豊富のこの川の水をいただけないかと思ったわけですね。
で、単純に川の水もらうだけじゃ水が足りなくなるわけでダムも必要になったわけですね。
この吉野川の上流は高知県になります。

で、結局、高知県の村を流れる吉野川を堰き止めて西日本最大級の早明浦(さめうら)ダムを作り、
香川用水という水路を吉野川から香川県まで作ったのです。
このダムと水路の完成により香川県の水不足はかなり解消されたのでした。

水不足から解消された香川とは裏腹に、縁もゆかりもない香川県のために村がダムに沈められることになった高知県の村の怒りは当然収まりません。
村の人は沈められることがわかっていたのに村役場を新築しました。
これがいまだに貯水率が下がってくると水底から現れる村役場の建物です。
ダムに沈められた悔しさを忘れないため、後世に村役場を残したわけです。

一昨年、まったく雨が降らず、頼みの綱の早明浦ダムの貯水率がゼロに近づきました。
例の村役場も水底から現れ始めましたた。
実はダムの水には水利権というのがあって香川県の分け分、徳島県の分け分、発電用の水の分け分がそれぞれあって、
ゼロと言っても、香川の分け分がゼロになったわけですね。
そこで発電用の水をわけてもらい、しばらく食いつないだのでした。

発電用の水もなくなりかけて、今度は徳島県分の水を分けてもらおうと香川県はお願いしました。
すると、徳島県はなんと 「ヤダ。」 って言ったんですねぇ。(笑)
なんでヤダと言ったかというとまず歴史的背景(香川は早明浦ダムに頼りすぎて努力していない)のと、
徳島県内で水不足により工場の操業停止などの実害が出ている。
(その地域へは水路がないので吉野川の水は送ることができない)その県民感情により、香川に水は分けられない。
というのが徳島の知事の会見でありました。

その徳島県分の水は結局どうしたと思いますか?なんと海に流したんですね。これが。
表向きは「吉野川の水量を確保しないとアユが死んでしまうため」ということらしいですが、実際のところは、
「香川に水やるぐらいなら、海に流してやる!やーい。ざまーみろ」というのが徳島の本心でありましょう。

とまぁ実に醜い四国の水を巡る争いでありますが、一昨年の水不足はいったいどうなったかといいますと、
「もうムリ。あとはダムの底の腐った水を飲むしかない。
明日から断水開始!」っていうときに巨大な台風が四国を直撃したんですね。これが。
台風2、3個来ないと満タンにならない。といわれていた早明浦ダムがなんと一晩でゼロから満タンになったのです。
実にラッキー!神風としか言いようがありません。
逆にゼロでなかったら未曾有の水害が下流でおきていたのではないかという話もあったぐらいです。

水不足のときに某巨大掲示板に書かれていた一言ですが、大爆笑しました。
水がないならポンジュースを飲めばいいじゃないですか。

やっぱり関東は水不足も自然災害もなくて暮らしやすいなぁとつくづく感じる今日この頃です。

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早明浦ダムにある石碑。確かに四国のいのち。