ウオッチ 富山駅北 官民の投資じわり
変わる「駅裏」飲食店に人波
南北接続見据え地価上昇

「駅裏」とのイメージが強い富山駅の北側に飲食店が続々とオープンし、にぎわいを見せている。
駅北口から徒歩圏内の富岩運河環水公園に3月、東京の老舗洋食店が進出した。
官民の投資が相次ぎ、地価も上昇するなど将来の路面電車南北接続を見据えて明るい兆しが出てきた。
週末に駅北を歩くと、何度も人波に出くわした。        (安田淳一郎)

美術館に老舗洋食店

17日午前11時過ぎ、富山県美術館3階にある「たいめいけん」の富山店を訪れると、約60人の行列ができていた。東京・日本橋の老舗洋食店で、
「過去には1時間40分待ちの時もありました。多くのお客さまに来ていただいています」。藤本清吾支配人は、ほくほく顔だ。
客席から富岩運河環水公園のシンボル「天門橋」と美しい立山連峰が見えるのも売りの一つだ。
公園は神通川沿いに流れる運河の船だまりに整備され、2016年度の入園者は157万人に上る。
県美術館は3月25日の一部開館以来、3カ月を待たずに、年間目標の来場者数30万人を超えた。
県美術館から3分ほど歩くと、昨年12月に開業したイタリア料理店「ラ・ロカンダ・デル・ピットーレ環水公園」のおしゃれな外観が目に飛び込む。
こちらも女性客を中心に満席だ。営業企画プロデューサー・ソムリエの福山雄さんは「たいめいけんさんとの相乗効果があるようです」と笑顔を見せる。
園内には世界のスターバックスの中で最優秀デザイン賞に輝いた「スターバックス富山環水公園店」が立地する。
県美術館の向かい側にある「料理の鉄人」坂井宏行シェフが監修したフランス料理レストラン「キュイジーヌフランセーズ ラ・シャンス」は、披露宴会場としても人気だ。

課題は駐車場不足

実際に歩いてみて、富山駅北が北陸新幹線開業前から様変わりしたことを実感したが、課題もある。
一つは駐車場不足である。公園内に171台分、県美術館には103台分止められるが、17日に美術館に止めようとすると、満車ですぐには入れなかった。
県は今年度、公園近くの日本赤十字社県支部跡地に立体駐車場(73台)を整備する計画だが、休日はまだ足りない可能性がある。
駅の整備が終わっていないのも大きな課題だろう。「駅前」と呼ばれる富山駅南口の改札を出て、北口に行く場合、複雑な地下道を通り抜ける必要があり、
移動するだけで疲れた。南北自由通路は早くても19年9月頃の完成で、さらに路面電車が南北1本のレールで結ばれる「南北接続」は20年3月頃の予定だ。
その南北接続への期待感は地価にも表れている。3月に発表された公示地価の住宅地では、富山駅北の奥田寿町は4・6%上昇し、県内で最も高い伸び率を示した。
不動産関係者は「駅北では商業地にも南北接続に向けた効果が出てくるだろう」と予想する。
富山駅周辺の投資が増えているとはいえ、外資系ホテルの進出など大型投資が相次ぐ金沢駅周辺と比べると、物足りない。
ただ、駅の整備さえ完了しておらず、「南北接続」を控える富山駅の周辺は、まだ伸びしろがあると言えなくもない。
富山駅北がさらなる投資を呼び込むことができれば、「駅裏」とのイメージが完全に払拭されるかもしれない。


Ψ(`∀´ )