これも東京のアート

分かる?「アートな防災看板」で避難誘導 東京・渋谷区
(地域・まち - 2018年8月31日 18時30分)
https://s.mxtv.jp/mxnews/kiji.php?date=46513156

分かる?「アートな防災看板」で避難誘導 東京・渋谷区
https://youtu.be/c8hBaxot4ts
https://i.imgur.com/TXRMqiC.jpg
https://i.imgur.com/0M27GqS.jpg
https://i.imgur.com/da5NIQB.jpg

 9月1日の「防災の日」を前に、東京都内の各地では自治体や企業、住民が連携した防災訓練が行われました。災害が発生した時は交通機関のまひなどで、自宅に帰ることができない多くの帰宅困難者が予想されます。
通勤通学客や旅行客が多く訪れる渋谷区は帰宅困難者対策の一環として、街の雰囲気に溶け込む「アートな防災」を始めました。

 多くの人が行き交う渋谷駅前でもし災害が発生したら、私たちはどこに避難すればいいのでしょうか。
渋谷の街を訪れた人からは「地方から遊びに来たので、どこに逃げたらいいんだろう」(栃木からの旅行客)、「初めて渋谷に来た。高いところですか」(山形からの旅行客)などといった声が聞かれました。
どこに行ったらいいのか、すぐには思い浮かばないようです。

 2011年の東日本大震災が発生した当時、都内は交通機関がまひし、渋谷区でも多くの帰宅困難者が発生しました。この帰宅困難者をいかに早く安全な場所に退避させるか、渋谷区は当面の課題としてきました。そして、出来上がったのは「避難する方向を示すアート」の数々です。
“渋谷らしいアートな壁画”を前に、渋谷区・帰宅困難者対策担当課の熊沢雄一郎課長は「アロー(矢印)プロジェクトといって、渋谷駅周辺の帰宅困難者を安全に避難させるための印として作成した」と話します。
壁画にたくさん描かれている矢印は「帰宅困難者が避難する代々木公園の方向を指している」といいます。

 災害が起きた時、渋谷にいる人たちが一時的に避難できる、安全な場所の方向を「矢印」が指し示しています。現在、区内には壁画やオブジェなど3つの作品があり、予算1300万円をかけて完成した、渋谷区の新しい“アートな帰宅困難者対策”です。
防災をアートと組み合わせた理由について区の担当者は「渋谷らしくクリエーティブに、安全な場所の方向を示すにはどうしたらいいか考えた。アート性あふれるものにして、日本人だけでなく外国人にも分かるようにした」と説明しています。

 一方、始まったばかりのこのプロジェクトには課題もあります。7月末、2カ所に設置されている“アートな防災壁画”は、早くもスプレー塗料による落書き被害に遭いました。
また、通行人からは
「(災害発生時の一時退避場所を示している表示だとは)全然分からない」
「オブジェの矢印に意味があるなんて。災害と関連しているとは想像しづらいデザイン」
「絶対分からない。100%分からない。命が大事だから、分かるものを作った方がいい。外国語と日本語で分かるように『災害避難場所はここ』と分かるようにしないと、何の意味もない」
と、厳しい声も多く聞かれました。

 渋谷区は今後、区内にこれらの“矢印アート”を数百カ所増やし、退避場所までの道のりをより分かりやすく示していきたいとしています。