国直轄事業による調査費予算計上も決まった下関北九州道路建設早よ
冷静に考える「下関北九州道路」 プロジェクトとして筋がいい、災害時の代替機能確保の面も
https://www.zakzak.co.jp/smp/soc/news/190412/soc1904120006-s1.html
発端となった塚田一郎・前国土交通副大臣の発言は、本州と九州を関門海峡で新たに結ぶ「下関北九州
道路」をめぐるものだ。塚田氏の「忖度発言」について筆者が初めて聞いたときには、発言が4月1日
になされたことから、エープリルフールでの冗談かと思ったくらいだ。というのは、このプロジェクト
はかなり古くからあり、安倍晋三(本州・下関)と麻生太郎(九州・福岡)の両氏への「忖度」なら、
もっと前に進んでいるはずだからだ。関門橋・関門トンネルの代替として、下関北九州道路の話が出て
いたのは1980年ごろからだ。その後、幾度も俎上にのぼったが、2008年の福田康夫政権の時「
海峡横断プロジェクトの調査については、個別のプロジェクトに関する調査は、今後行わない」とし、
一時頓挫した。それが、安倍政権になってから、国土強靱(きょうじん)化の流れで復活してきたものだ
。プロジェクト自体は、かなり筋がいいと筆者には思われる。公共事業を評価する場合、それによって
もたらされる「便益(ベネフィット)」とそれに伴う「費用(コスト)」を比較して行われるが、道路の
場合、ベネフィットとしては(1)混雑緩和・時間短縮(2)走行経費減少(3)交通事故減少−がある
。 福岡県の資料によれば、下関北九州道路ができれば、幹線道路の慢性的な交通混雑が解消し、(1)
から(3)の便益は、50年間合計で2000億円と推計されている。一方、建設にかかる事業費は
1500億円程度だ。こうしたデータを見る限り、公共事業として、便益が費用を上回るプロジェクト
になっている公算が大きいだろう。問題は財源であるが、公共事業として建設国債財源で無償道路でも
いいだろうが、既存の関門橋・関門トンネルが有料道路であることを考えると、料金を徴収する
有料道路で行うのが普通だろう。となると、財源制約はさらになくなるので、採択されやすい公共事業
になる。しかも、大規模災害時における代替機能の確保の観点から検討しても、優先的に行うべきものだ
。有料道路プロジェクトであれば、財政投融資やPFI(民間資金を活用した社会資本整備)など
さまざまな方法があるので、この点からもやりやすいだろう。このように財源などの整備手法がネック
になりにくいので、どのルートにするか、橋かトンネルにするかといった構造形式を詰めれば、
比較的早期に具体的なプロジェクトにできるのではないか。