AIや映像企業、金沢に熱視線 人材・文化が引力に
日本経済新聞 - 2019/04/17
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43799570W9A410C1962M00/

IT(情報技術)分野の企業集積が手薄とされる金沢市に国内外のスタートアップ企業が熱視線を送っている。
4年前の北陸新幹線開業で東京との行き来がしやすくなり、若い人材の豊富さや歴史・文化が残る町の雰囲気に関心が集まる。
2019年は人工知能(AI)の開発や映像制作拠点を開設する動きが加速する。金沢市も小学校の旧校舎や町家を拠点に活用できるよう後押しする。

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価値創造拠点として活用する旧野町小学校

12年に設立したAIシステムの開発を手掛けるネクストリーマー(東京・板橋)は5月をメドに、金沢市内に開発拠点を設ける。拠点のテーマは「AIによる金沢の課題解決」。
まずは5人前後で発足し、1年で10人規模まで拡大して観光課題の解決に動く。
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旅行に来た外国人などが話しかけるとAIが外国語で案内をしたり、日本人との会話を通訳で補助したりする仕組みを開発。タクシーや街中などへの導入を検討する。

進出するのが町家を集積したエリア「金沢AIビレッジ」だ。衰退が進んでいる町家を活用しようと市が今年度から整備を始めた。改修や設備導入などに1件最大1300万円の補助金を出し、クリエーターやAIエンジニアを誘致する。

ネクストリーマーの向井永浩最高経営責任者(CEO)は「町家の落ち着いた雰囲気で開発できるのは魅力的だ」と期待する。金沢大学出身の向井CEOは「金沢は大学が集まり、優秀な若い人材が集まりやすい」とも説明する。

市は廃校も活用する。中心市街地にある旧野町小学校を「価値創造拠点」(延べ床面積3500平方メートル)として改装する。オフィスや3Dプリンターなどを置く開発スペースを設けるほか、スタートアップ支援室なども開設する。

海外企業も動く。14年に米国のアニメ映画会社、ピクサー出身のアートディレクターらが立ち上げた米カリフォルニア州にあるトンコハウス。アニメのコンテンツ制作を手掛ける同社は3月、日本法人の拠点を東京・渋谷から金沢に移した。