[FT]ドイツ、10年ぶりに人口減少 移民流入急減で

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受けて移民の流入に急ブレーキがかかったドイツで、人口が10年ぶりに減少に転じた。13日に公表されたデータでは、近年の人口の伸び悩みがいっそう深刻になっている現状が浮き彫りになった。
独連邦統計局によると、ドイツの人口は2020年1〜6月期に4万人減少して8310万人となった。欧州最大の経済国ドイツで人口が減少するのは10年7〜12月期以降で初めてだという。

ドイツは日本と同じく、低出生率、高齢化、生産年齢人口の停滞に苦しむ状況が長く続き、エコノミストらは将来の生産性や成長率、財政に影響が及ぶと懸念を示している。

■人口減で将来の成長鈍化も

独ベレンベルク銀行のエコノミスト、フロリアン・ヘンゼ氏は「人口増加が労働人口の拡大につながれば、経済成長の主な原動力になる」と指摘する。「ドイツの人口拡大が頭打ちとなり、減少に転じたとすれば、将来の成長鈍化を招く」という。

しかし、同氏は日本が女性や高齢者などに労働参加を促すことで人口減に対応できる道を示したとし、「独政府が今後も退職年齢引き上げを推進したとしても、驚きではない」と述べた。

ドイツの人口が減少に転じた主因は、感染が世界的に拡大した3月以降に他国から流入する移民が急減したことにある。

今年1〜6月期の移民流入数は29%減の52万9000人で、流出数は22%減の45万5000人だった。

したがって、移民は同期に7万4000人純増したことになるが、前年同期の純増数16万7000人の半分以下にとどまる。