縮む中国「一人っ子政策」が影 2100年に5億人割れも
強権の中国

米国との長期の覇権争いをにらめば、中国の最大のアキレスけんは人口の減少だ。一部にはいま14億人の人口が2100年には5億人を割るとの試算もある。夫婦1組の子どもを1人までに限った「一人っ子政策」のツケが重くのしかかる。

「超大規模の国内市場の強みを十分に発揮しなければいけない」。中国の習近平(シー・ジンピン)国家出席は7月、企業家との座談会で語った。中国は購買力を外交でも武器にしてきたが、その力に衰えがみえる。


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20年までに携帯電話の出荷台数は4年連続、新車は3年連続で前年水準を下回りそう。衣服や酒も売れていない。消費財メーカーは販売量の減少を単価引き上げで補うが、所得の伸びも鈍っており、頭打ちが近づく。
若者の急速な減少が背景にある。10年の国勢調査から試算すると、18〜30歳の人口は12年の2.9億人から20年の2.3億人まで6千万人も減り、24年には2億人を割る。90年代に全国に広がった一人っ子政策の効果が本格的に出てくる。
問題は今後の人口見通しについて、政府と一部の識者で見解が大きく食いちがい、少子化対策が遅れていることだ。
国連の基本シナリオでは2100年の中国の人口は10億人を維持するが、人口問題が専門の米ウィスコンシン大学の易富賢研究員は「3億5千万〜4億5千万人」と試算する。仮に3億5千万人まで減れば、人口で米国に逆転されかねない。
大きな差が出る原因は、1人の女性が生涯に産む子供の数を示す「合計特殊出生率」を巡る論争があるからだ。