安保法新任務の訓練開始 防衛相表明、集団的自衛権も対象
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016082402000237.html

 稲田朋美防衛相は二十四日午前の記者会見で、昨年九月に成立した安全
保障関連法に基づく自衛隊の新任務について、訓練を開始すると表明した。他国
を武力で守る集団的自衛権行使も含め、同法に盛り込まれたすべての新任務が
対象。可能なものから順次、訓練に着手する。当面は、南スーダンでの国連平和
維持活動(PKO)に十一月に派遣される陸上自衛隊の交代部隊に「駆け付け
警護」などの新任務を訓練させる。

 安保法は違憲の疑いが指摘され、廃止を求める世論も依然強い中、訓練を
経て本格的な運用段階に移行する。稲田氏は「準備作業に一定のめどが立った
ため、今後、必要な訓練を行うことにした」と説明。「各種の事態に適切に対応でき
るよう万全を期す」と述べた。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官も二十四日の会見で「隊員の安全確保に万全
を尽くす」と強調した。

 安保法は歴代内閣が憲法解釈で禁じてきた集団的自衛権の行使や、日本防衛
のために活動中の米艦を護衛する「平時の米艦防護」などを可能にした。今年三月
に施行されたが、安倍政権は、七月の参院選への影響などを考慮して、新たな任務
についての訓練を見送ってきた。

 会見で稲田氏は日米間や多国間での共同訓練でも、安保法に基づく新任務を
想定した訓練を行う考えを示した。

 日米間では十月以降に統合演習「キーン・ソード」、方面隊指揮所演習「ヤマサ
クラ」が予定されているため、新任務に適合するシナリオをそれらの訓練に取り入れる
よう米側と調整を進める考え。

 訓練の具体的な内容は明らかになっていない。集団的自衛権行使については、米
艦防護などを想定した訓練になる見通し。

 南スーダンPKOの交代部隊は、陸上自衛隊第九師団第五普通科連隊(青森市)
主体の部隊。今月二十五日から訓練に入り、九月中旬以降に、武装勢力に襲われ
たPKO関係者らの防護に向かう「駆け付け警護」と、PKO参加各国との宿営地の
共同防衛について訓練する。

 最終的にこれらの任務を付与するかどうかは、訓練状況や現地情勢を見極めて判断
する。