無党派の支持戻らず 自民総裁3選「反対」52%・本社世論調査
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H28_X20C17A8PE8000/
日本経済新聞社の世論調査で、無党派層や女性の内閣支持率の戻りが鈍い。支持率全体は46%へと上昇したが、無党派層の支持率は19%と2割を切る。男女別では男性の支持率が51%に対し女性は40%にとどまる。
学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題などで政権批判に回った層の支持回復は難しく、安倍晋三首相の来年9月の自民党総裁3選にも反対が5割を超す。

加計学園問題で全体の内閣支持率が39%まで低下した7月と比べると、自民党支持層が79%から84%まで回復したのに対し、無党派層は17%から19%と顕著な回復はみられなかった。
全体の支持率が66%だった今年1月は無党派層では43%が支持していた。当時と比べると無党派層の支持率が急落したままだ。

女性の支持率も男性に比べると低めだ。
今月3〜4日に実施した前回調査から男性は5ポイント上昇の51%となったが、女性は40%と前回の38%からほぼ横ばいだった。

こうした結果は、今回の調査でも内閣支持率が底打ちしたかの判断が難しいことを示す。
支持率急落の原因となったのは国会で野党が追及を強めた「加計学園」問題や南スーダンの日報問題などだったが、今は国会が開かれていない。
世論の関心の薄れが支持率回復につながっているだけの可能性もある。

無党派層の支持が依然として低調である以上、与党内には再び支持率が低下に転じることを懸念する声が多い。
加計学園問題では市民団体が建築費の水増しを主張するなど新たな論点も浮上しており、9月下旬の臨時国会では野党は引き続き「加計学園」問題を取り上げる構えだ。
改造後初の論戦で新任閣僚への追及も強まる見通しで、与党幹部は「臨時国会も冒頭から荒れるかもしれない」と不安視する。

支持率が低下すれば安倍長期政権への風当たりは強まる。
安倍首相が来年9月の自民党総裁選で3選され首相を続投することに「反対だ」が52%と「賛成だ」の40%を上回った。
無党派層の65%が反対し、自民党支持層でも30%が反対と答えた。今年2月の調査では安倍首相の続投に「賛成だ」が63%に達し「反対だ」の28%を大きく上回っていた。

首相が目指す憲法改正にも暗雲が漂う。
自民党が憲法改正案の国会提出についてどうすべきか3つの選択肢で聞くと「今年秋の臨時国会に提出すべきだ」は20%どまり。「来年の通常国会以降に提出すべきだ」が37%、「憲法改正案を国会に提出すべきでない」が30%だった。
自民党支持層に限っても「来年の通常国会以降」が50%と最も多かった。

公明党の山口那津男代表は27日、日本経済新聞の取材に「支持率の一層の回復には秋の臨時国会に閣僚が十分に準備して臨むことが必要だ。外交で成果を出すことも重要になる」と話した。
安倍政権にとって無党派層や女性の支持回復が当面の課題になりそうだ。