米上院議員候補に未成年暴行疑惑 5人目が名乗り上げ糾弾
11/14(火) 15:48配信 BBC News
米アラバマ州で12月に予定される上院補選に共和党候補として出馬しているロイ・ムーア判事(70)に対して、5人目の女性が10代のころに性的に触られたと名乗りを挙げて糾弾した。
複数の共和党関係者が、ムーア氏に出馬辞退を促している。
ジェフ・セッションズ氏が上院議員から司法長官に転身したことを受けての補選で、スティーブ・バノン前大統領首席戦略官が擁立した保守強硬派のムーア氏は9月の予備選で、
ドナルド・トランプ米大統領が支持した候補を押さえて勝利し、共和党候補となった。
しかし米紙ワシントン・ポストは9日、女性4人が実名で、それぞれ10代のころに当時30代でアラバマ州の副地方検事だったムーア氏に、性的に体を触られたと訴える記事を掲載。最も若い女性は当時14歳だったと話している。
ムーア判事は記事内容を否定し、「魔女狩りだ」と反発。政敵が仕掛けた「典型的なフェイクニュース」だと呼んでいる。判事の妻も、女性たちは金銭と引き換えにでたらめを話していると逆に非難している。
こうした状況で13日、ベバリー・ヤング・ウィルソン氏(56)が記者会見し、自分が16歳の時に30歳のムーア氏に暴行されかかったと発言した。ウィルソン氏によると、
アラバマ州ガドセンでウェートレスとして働いていた当時、常連客のムーア氏に家まで送ると言われて車に乗ったところ、レストランの暗い駐車場に車を停められ、
ドアをロックされ、体を触られ、性的行為を強要されそうになったという。
「やめてと叫びながら抵抗した」とウィルソン氏は話した。
「ともかく恐ろしかった。向こうは私のシャツを引きはがそうとしていた。強姦されると思った」。ウィルソン氏は記者会見でこう話した。「しばらくして諦めた彼は、私を見つめて、『お前はただの子供だ。自分はエトワ郡の地方検事だ。
このことを誰かに言っても、誰も信じないぞ』と言った」という。
「やっとドアを開けてくれて、私は自分から転がり落ちたか、向こうに押し出されたかで、外に出た」とウィルソン氏は言い、自分の首や肩が何日もあざだらけだったと話した。
この数週間前にムーア氏は、ウィルソン氏の高校の学年アルバムにサインさせてもらいたいと申し出て、「これほど愛らしくて美しい女の子はほかにいない。メリー・クリスマス。愛を込めて、ロイ・ムーア地方検事」と書き込んでいた。
このアルバムのコピーを、ウィルソン氏の担当弁護士グロリア・オールレッド氏は報道陣に配布した。
ムーア判事のビル・アーミステッド選対委員長は、複数の女性の糾弾を否定し、ムーア判事の無実を強調。「30年以上にわたり一点の曇りもないキャリアを重ねてきた人物に対する魔女狩りだ。彼は常に、高潔な人柄の人物だった」と反論した。
一方で、上院共和党のミッチ・マコネル院内総務は13日、ムーア判事の問題行動を糾弾する女性たちの主張を信じると発言。院内総務は地元ケンタッキー州で記者団に対して、来月の予備選で別の共和党候補を擁立できないか党として検討していると話した。
共和党予備選でムーア判事に敗れたルーサー・ストレンジ候補を擁立する可能性もあるという。
マコネル院内総務は、ワシントン・ポストの最初の報道の後は、疑惑が本当ならばムーア判事は出馬を辞退すべきだが、本当でなければ撤退の必要はないと発言していた。しかし13日には「自分は女性たちを信じる」と言明した。
これを受けてムーア判事はツイッターで、「辞任すべきはミッチ・マコネル上院院内総務だ。保守派を裏切ったので、交代させなくては。♯沼をさらえ」と反論した。
共和党はムーア氏を見捨てるのか
歯に衣着せぬ直言で知られるキリスト教保守派のムーア判事は、12月12日の補選で、民主党候補ダグ・ジョーンズに対して勝利確実とみられていた。しかし、一連の疑惑が表面化して以来、世論調査の支持率は接戦になりつつある。
アラバマ州では1992年を最後に、民主党の上院議員候補は当選していない。
アラバマ州務長官によると、これから投票日の12月12日までの間に何が起きようとも、ムーア判事の名前は候補者として投票用紙に記載される。
アラバマ州法は投票日まで76日の期限を過ぎると、党の候補交代を禁止している。ただし、有権者は公認候補以外の好きな人物の名前を自由に「書き込み」投票することができるため、共和党は別の党の候補を推薦する可能性がある。
さらに州党本部がムーア氏の候補指名を取り消した場合、仮に最多得票しても勝者として認定されない可能性もある。あるいは、仮にムーア氏が当選したとしても、上院そのものが議員不適格とみなして採決の後に追放することもあり得る。
(英語記事 Roy Moore: Woman claims US Senate candidate 'tried to rape me')