――憲法改正論議が本格化します。これに対する基本的な姿勢は。

 【枝野】憲法がいい方向に変わるのであって、なおかつ変える必要があるのであれば、それには積極的に取り組みます。
悪く変わることに対しては、断固として戦います。少なくとも憲法第9条違反の法律をつくってそれを追認するようなことは、
立憲主義論としてありえない。今の集団的自衛権の考え方は、自衛権行使の限界が不明確かつ広範にすぎる。
したがって「立法論」としてもありえないという立場です。

■自民と同じ「自衛力強化」「米軍との関係強化」

 ――国民の大多数が自衛隊の存在自体については認めていると思います。単純に自衛隊の存在を明記することにも反対ですか。

 【枝野】単純に明記してしまうと、今回以上に解釈が変わります。例えば9条第3項に自衛隊なり自衛権を認めると書き込めば、
1項、2項、ほとんど無効化します。したがって、フルスペックの集団的自衛権が可能になると解釈するのが、普通です。
そもそもが、集団的自衛権の一部行使を認めているのですから、自衛隊を書き込めば少なくとも現状の安保法制を容認することになる。
このように解釈によって、歯止めがきかなくなることが問題なのです。

 ――どうやって安全保障体制を構築するのか、それが伝わってきません。

 【枝野】伝わらないのは当たり前で、大きく違わないからです。われわれも北朝鮮に対しては、対話以上に圧力が必要だし、
万が一の場合に備えて、自衛力は強化すべきであると考えています。米軍との関係も強化すべきであると。
これも自民党と変わりはなく、大きな方向性としては共通です。責任ある政党として、やみくもに与党に反対しているわけではありません。

 ――日米安保条約が日本の安全保障にとって軸になるとお考えですか。

 【枝野】もちろんです。個別的自衛権の範囲内での自衛隊は合憲だし、日米安保は健全に強化すべきである。それが立憲民主の立場です。

 ――経済政策については、どのような施策をお考えですか。

 【枝野】低賃金で人手不足の公的サービス分野に財政出動し、そのことによって賃金を引き上げる。
2つ目、労働法制の規制を強化する。そのことによって格差の拡大防止と是正を図る。分配なくして成長なしです。

 ――賃金引き上げなどの財源は。

 【枝野】当面は公共事業の予算を回せばいいんです。公共事業の財源である建設国債を減らし、赤字国債で財源を調達する。
赤字国債なら、そういうところに予算を投じることができます。現状で緊縮政策は取れません。
今の消費不況の状況で、財政支出の規模を小さくすれば、それこそ不況が深刻化します。
緊縮財政が取れないということは、増税、とくに大衆増税はできない。それは緊縮財政と同じことですから。

 ――2019年10月実施予定の消費増税については、「凍結」という立場ですね。

 【枝野】凍結の1番の理由は、今は消費不況であり、しかも心理的な要因がすごく大きい。
消費税率を引き上げたら、必ず消費不況を加速させるからです。消費不況から脱却して、
消費が着実に右肩上がりになるような状況をつくらなければ、消費税率は上げられない。
それから、法人税を減税しておいて大衆増税するのでは、納税者の理解を得られない。
おカネに色はなく、増税で財政的な余裕ができると、結局、社会保障以外の分野にも予算をと、無駄遣いへと戻っていく可能性がある。

 ――立憲民主党は女性に多く支持されているように見えます。

 【枝野】民主党以来の懸案を、今クリアできているんです。
圧倒的に男性のほうの支持率が高かったのが、初めて女性のほうが高くなったんですよね。