衆院予算委論戦、後半は政府防戦一方 改憲議論に影響も

産経新聞

 ■もり・かけ・スパ→佐川国税庁長官→裁量労働データ

 衆院予算委員会での与野党論戦は、野党側の追及材料不足により与党ペースで淡々と進んだ前半戦から一転、
裁量労働制に関する厚生労働省の調査データに不備があった問題が浮上すると
野党は働き方改革関連法案の提出阻止に狙いを定め、政府・与党は防戦に追われた。
衆院は1日以降、空転する可能性もあり、憲法改正議論にも影響が出そうだ。

 「総理、総理、総理、これは労働者の命がかかっていますから! 裁量労働制で働く人の声も聞く実態調査をするのか」

 希望の党の山井和則氏は28日の衆院予算委で、再調査を強く求めた。安倍晋三首相は働き方改革法案の国会提出延期をにおわせた。

 そもそも法案は国会提出すらされておらず、「緊急性の高い予算案に反対する理由にはならない」(自民党幹部)のは確かだ。
ただ、直近の報道各社の世論調査では裁量労働制の拡大に「反対」が「賛成」を上回り、確実に安倍政権のダメージになっている。

 予算案の実質審議入りは2月2日。野党は当初、森友・加計学園問題に、
スーパーコンピューター開発をめぐる国の助成金詐欺事件を含めた「もり・かけ・スパ」に照準を合わせた。
財務省が2月9日に森友学園をめぐる内部文書を公表。
矛先は過去に学園側との面会記録を「廃棄した」と答弁した佐川宣寿国税庁長官に向かったが、
与党は佐川氏の国会招致に応じなかった。

 流れが変わったのは2月14日だった。野党が厚労省データに疑義を呈し、
首相が裁量労働制に関し「一般労働者より(労働時間が)短いというデータもある」とした答弁を撤回した。

 その後も異常値が相次いで発覚。野党が平成30年度予算案の採決時期をめぐって審議拒否など徹底抗戦しなかったのは、
データ不備問題で政権を追及した方が得策だと踏んだからだ。

 立憲民主党の辻元清美国対委員長は28日、自民党の森山裕国対委員長に「再調査を受け入れない限り、
3月1日以降、衆院の全委員会で審議に応じない」と伝えた。
自民党は予算成立後、具体的な改憲議論を加速したい考えだが、野党の反発が収まる気配はない。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180301-00000028-san-pol