比例「70歳定年」 自民9人、大半特例希望
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20180601/k00/00m/010/177000c


 自民党が来夏の参院選で、比例代表の「70歳定年」に頭を悩ませている。
改選を迎える現職18人のうち、党の規定で9人が定年だが、多くが特例での立候補を希望。
ただ、安倍晋三首相(党総裁)が特例と認めたのは過去2回で各1〜2人で、若手議員などから「若者や女性を登用すべきだ」と苦言も漏れる。
一方、現職の支援団体に気を使う議員からは定年規定の見直しを求める声があり、世代対立の様相も呈している。

 自民の塩谷立選対委員長と林幹雄幹事長代理は31日、2013年参院選に比例代表で当選した現職と党本部で面談。
集票に動く支援団体の関係者も同席した。党執行部はこの日までに、改選の18人全員から出馬の意向を聞き取り調査した。



 自民は参院比例の選定基準を「任期満了日に原則として満70歳未満」と規定。来年7月28日時点で70歳以上なら立候補できないことになる。
該当するのは山東昭子元副議長、衛藤晟一首相補佐官ら9人で、選対幹部は「こんなに多いのは過去に例がない」と漏らす。

 ただし定年には例外規定もある。「総裁が国家的有為な人材と認めた者」や「支持団体が余人をもって替えがたい候補者と決定、総裁が認めた者」として自民は13年参院選で山東氏ら2人を公認。
16年参院選でも水落敏栄氏を公認した。

 党関係者は今回、9人の大半が立候補を希望していると明かし、「本人の意思と、職域など支持団体の意向が働いている」と解説。
例えば柘植芳文氏は全国郵便局長会、山田俊男氏は全国農政連、羽生田俊氏は日本医師連盟、石井みどり氏は日本歯科医師連盟がそれぞれ支援。
全国農政連は組織内で候補を選ぶ予備選を行い、山田氏も出馬している。

 さらに山東氏は、麻生太郎副総理兼財務相が率いる麻生派で会長代行を務める重鎮だ。安倍首相の「兄貴分」とも言われる衛藤氏の扱いにも注目が集まる。

 党青年局などには、特例が続出して形骸化することを警戒し、定年制堅持を求める声が根強い。ある若手議員は「原則を守ってほしい」とけん制。
別の議員は「党は若者や女性の登用を掲げている」と新陳代謝を訴える。

 逆に、高齢化社会が進む中、定年を迎える議員の一人は「人生100年と言っているのに70歳にどこまで意味があるのか」と反発。
各支援団体は衆参の選挙区でも集票力を発揮するだけに、党内には「団体が認めるなら特例でいいじゃないか」と理解を示す意見もある。【竹内望、松倉佑輔】


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