野党共闘、共産に危機感 政権批判票は立憲に 党員10カ月連続減
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 野党共闘と党勢拡大の両立をめざす共産党が危機感を強めている。
昨年秋の衆院選で共闘は一定の成果を収めたが、政権批判票を立憲民主党に奪われて党の議席は激減。
党員拡大を立て直しの第一歩と位置づけたが、10カ月連続して減り続け、低迷に歯止めがかからない。
来年夏の参院選に向け、今後本格化する他党との調整も難航が必至だ。


 今月11日、東京・千駄ケ谷の共産党本部。緊急に招集された党中央委員会総会は緊張感に包まれた。

 「連続的に後退が続く状況。このままでは致命的な弱点となりかねない」

 志位和夫委員長は党勢低迷を認め、2016年の参院選当時の党員数や機関紙「しんぶん赤旗」の購読者数を回復する目標を示した。だが、実現は容易ではない。

 高齢化を背景にピーク時の1990年に約50万人いた党員は17年に30万人まで減り、その後も減少が止まらない。
衆院選を総括した昨年12月の総会では党員増を立て直し策の柱にしたが、結果は逆に10カ月連続減。赤旗購読者数も5カ月連続で減少が続く。

 この日の総会で、志位氏は党員を1万6千人増やす目標の達成時期を今年9月末まで2カ月延長し、
「必ずやりきる」と決意を示したが、党内からは悲観論も漏れる。

 来夏の参院選は改選を迎える3議席の選挙区の積み増しに加え、
過去2回は5議席にとどまった比例区で7議席を確保することが目標。
昨年の衆院選比例区の約2倍の850万票を得る必要があり、党関係者は「実現性よりも党内引き締めが狙い」と話す。


 ■参院選へ調整難関

 来夏の参院選で、32ある1人区で候補者を一本化することは野党陣営の共通目標だが、
「相互支援・共通政策の合意が条件」という共産党の思惑通りには進みそうもない。

 立憲の枝野幸男代表は、あくまで「候補者のすみ分け」を進める立場で、相互支援などの合意は受け入れない方針だ。
「地元から一本化を求める声が中央に上がれば、共産も無視できない」(立憲幹部)と譲歩を迫れるとみる。

 仮に候補者を一方的に降ろせば、選挙区での活動量が落ち、主戦場とみる比例区票の掘り起こしに響く。
それでも、野党共闘の枠組みを優先せざるを得ない共産幹部は「最終的に党方針を見直すこともやむを得ない」と弱音を漏らす。

 内外の厳しい状況に党の地力や他党への交渉力を強めるしかないのが実情だ。
他党より早く参院選1人区で計19人を公認(21日現在)したのも、交渉を優位に進める狙いがある。
国会で森友学園の国有地取引問題の内部文書を暴露し、存在感を示すことも、党の発言力向上につながると期待する。

 党員獲得のほか、2月にネットサポーター制度を始め、来月には赤旗電子版も発行する。
「(事務所内に)同じ顔のポスターがいっぱい貼ってあると気持ち悪い」などのサポーターの苦言も
小池晃書記局長らが聞き取り、党運営に生かす「体質改善」に取り組んでいる。