「電気なければ生きていけないと実感」 災害に弱かった電力インフラ…今こそ議論を深める時 ジャーナリスト・石井孝明氏が提言
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180911-00000008-ykf-soci

 今回、電力インフラの弱さが浮き彫りになった。それを守る電力会社の努力で、弱さがこれまで目立たなかっただけだ。

 台風では、強風で飛ばされた太陽光パネルの破損と、それによる被害も伝えられた。その全貌は不明だが、太陽光発電が災害に強靭(きょうじん)ではないことが示された。

 北海道の地震では、北海道電力の泊原子力発電所が、行政の安全審査の長期化によって停止し、苫東厚真火力発電所で北海道の電力需要全体のおよそ半分を賄っていた。
そこが被災し、送配電網を維持するために全発電所が緊急停止して、ブラックアウト(全面停電)となった。

 そして、地震によって北海道各所で発電設備が壊れ、厳冬の北海道での電力供給が危ぶまれている。

 関西と北海道での大規模停電は、エネルギーと私たちの関係、今進行する政策について、さまざまな問いを投げかける。

 東日本大震災を受けた東京電力福島第1原発事故後で、日本のエネルギー政策は大きく変わった。太陽光などの再生可能エネルギーの振興策は、本当に意味があったのだろうか。
現在進行する電力会社の発送電分離と自由化で、その能力が維持できるのか不安がある。

 今回の大規模停電も、電力会社が危機に対応する経費を削減したことが一因かもしれない。
「脱原発」の声が強いため、原発の稼働が遅れ、それの生み出せる巨大な電気を、北海道では活用できないままだ。

 エネルギーについては「脱原発」の主張が政治問題になって、現実を直視して「何が必要か」を冷静に議論することが少なかったように思える。
この災害を契機にして、電力インフラについて議論を深めるべきだろう。