自民党内「首相はもう選挙の顔にはならない」

安倍首相「総裁選の後だから仕方ない。各派幹部が売り込む待機組を受け入れる・・・」

自民党関係者「首相は違う人事構想を練っていた。派閥に押し切られた」

自民党・閣僚経験者「待機組になるには相応の理由がある。言動や粗雑な政治資金管理のリスクを背負い込むことになる」

来年の参院選で改選を迎える自民党議員「こんな内閣で参院選は大丈夫なのか」

別の自民党議員「在庫一掃内閣だ」

自民党・閣僚経験者「予算委員会を乗り切れるのか」

国民民主党幹部 「新閣僚が標的だ」


「堅実」一転、待機組を優遇=安倍首相、沖縄大敗で危機感−内閣改造〔深層探訪〕
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181006-00000024-jij-pol

 安倍晋三首相が内閣改造で、当選を重ねながら未入閣の「待機組」を大量起用したのは、
自民党各派幹部の不満を抑えるためだ。当初は手堅い実務型の布陣とする意向だったが、沖縄県知事選の大敗で方針転換を余儀なくされた。
ただ、新閣僚の手腕は未知数で言動への不安もあり、来年夏の参院選に向けて火種を抱えた格好だ。

 ◇「派閥に押し切られた」
 首相は先週、党幹部に対し、閣僚候補が抱える不祥事の有無を事前に調べる「身体検査」を徹底し、
野党の追及に耐えられる守りの人事を基本とする考えを伝えていた。
先の党総裁選で、森友・加計学園問題などに起因する首相への不信が根強いことが明らかになり、
参院選までの国会を無難に乗り切ることを重視したためだ。

 だが、9月末の沖縄県知事選で想定外の惨敗を喫し、党内から「首相はもう選挙の顔にはならない」との声が噴出した。
求心力低下を恐れた首相は、「総裁選の後だから仕方ない」と、各派幹部が売り込む待機組を受け入れる考えに転じた。
党関係者は「首相は違う人事構想を練っていた。派閥に押し切られた」と明らかにした。

 各派はポストを得るのに必死だった。
関係者によると、竹下派会長代行の茂木敏充経済再生担当相は訪問先のニューヨークから首相と政府専用機で帰国する際、
同派の渡辺博道氏を入閣させるよう直談判。
ある派閥では、政権幹部から入閣候補の「政治とカネ」の問題を指摘され、慌てて党の顧問弁護士に相談して事なきを得たという。

 ◇野党は手ぐすね
 だが、待機組の処遇はリスクを背負い込むことと裏腹だ。ある閣僚経験者は「待機組になるには相応の理由がある」と語り、
言動や粗雑な政治資金管理を指摘する。二階派の新閣僚では、片山さつき氏が参院外交防衛委員長に在任中、
ツイッターでの野党批判や委員会への遅刻でたびたび謝罪。桜田義孝氏は、慰安婦問題などをめぐる不適切な発言で物議を醸してきた。

 党内からは来年夏に改選を迎える参院議員を中心に、政権の先行きへの不安の声が続出している。
ある改選組議員は「こんな内閣で参院選は大丈夫なのか」と不安を隠せず、
別の議員は「在庫一掃内閣だ」と酷評した。ある閣僚経験者は「予算委員会を乗り切れるのか」と顔をしかめた。

 野党側は「新閣僚が標的だ」(国民民主党幹部)と手ぐすね引く。
立憲民主党の福山哲郎幹事長は記者団に「初入閣の皆さんには十分に時間を取って考え方を話していただきたい」と語った。