野党共闘進まず 1人区候補、一本化遅れ
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190115/ddm/005/010/034000c


 参院選は改選数1の「1人区」の行方が全体の結果を大きく左右する。
2016年の前回選挙では、旧民進党や共産党など野党4党が32の全1人区で候補者を一本化したものの11勝21敗と大きく負け越し、自民、公明両党の壁を崩せなかった。
野党の候補者調整の現状をみる限り、その教訓が十分に生かせているとはいえない。

 前回参院選時に旧民進党代表だった岡田克也元外相は10日の講演で「1人区で野党が20議席ぐらい取れば安倍政権への不信任になる」と述べた。
実現するには、野党は1人区での勝利を前回から9上積みする必要がある。


 6年前の13年参院選の1人区で野党は2勝しかできなかった。このうち岩手の平野達男元復興相は今回、自民党から立候補を予定し、沖縄の糸数慶子氏は10日、立候補見送りを表明した。

 これに対し、1人区で自民党の候補予定者が決まっていないのは群馬と沖縄だけ。29選挙区には同党の現職(山梨と愛媛は未公認)がおり、長野は新人を公認済みだ。

 つまり、当選実績のある自民党現職に対抗できる新人をどれだけ発掘できるかが「共闘」のカギを握るのに、野党の動きは鈍い。

 16年に野党が勝利したのは青森、岩手、宮城、山形、福島、新潟、山梨、長野、三重、大分、沖縄の11選挙区。
今回の現状は、共産党だけが候補者を内定=5選挙区▽野党系が競合=2選挙区▽野党系が不在=2選挙区――で、候補者一本化のめどが立ったのは大分と沖縄にとどまる。

 立憲民主党の枝野幸男代表は6日のNHK番組で「3年前の経験を踏まえれば決して遅れているとは思わない。安倍政権のこれ以上の横暴を許さないという声に応える状況は必ず作れる」と強気に語ったが、野党の立ち遅れは明らかだ。

 ただ、時の政権に逆風が吹けば1人区の情勢はがらりと変わる。
今月下旬の通常国会召集を前に、厚生労働省による毎月勤労統計の不適切な調査手法が長年続いていた問題が表面化し、政府・与党は動揺している。

 こうした中、自民党は党所属議員に対し、野党時代に谷垣禎一総裁(当時)が提唱した少人数の「ふるさと対話集会」を今年度中に3カ所以上で開催するよう指示した。
「東北では全敗もあり得る」(党関係者)という危機感から、激戦、要警戒と分析した1人区を重点的にてこ入れする方針だ。【小田中大、松倉佑輔】

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