共産党と他党の溝が露呈、参院選「相互推薦」に暗雲
https://www.sankei.com/politics/news/190422/plt1904220021-n1.html

「与えられた条件の中では最善の戦いをやった。(野党共闘に)禍根を残すなどということはない」
共産党の志位和夫委員長は21日夜の記者会見で大阪12区補選をこう総括した。

共産党は同党元衆院議員の宮本岳志氏を無所属で擁立し、他党が相乗りしやすい環境づくりを狙った。
だが、共産党以外で宮本氏を推薦したのは自由党にとどまり、立憲民主党や国民民主党は自主投票で臨んだ。
共産党系無所属候補という「クセ球」(国民民主党幹部)への対応に悩んだ結果、表立って応援する
ことに二の足を踏んだわけだ。

立憲民主党や国民民主党が共産党と距離を置こうとするのは、安全保障などの主要政策をめぐる隔たりを
抱えているからだ。支援を受ける連合の傘下には共産党への忌避感を根強く抱く産業別労組も少なくない。

主要野党の選挙協力は平成28年の参院選から本格化し、民進、共産、生活(現自由)、社民4党が32ある
1人区全てで候補を一本化した。29年の衆院選では、候補を立てなかった民進、自由両党を除く2党に、
民進党から分裂して発足した立憲民主党を加えた計3党ですみ分けを行った。

過去2回の国政選挙での一本化は、政党間の公式協議を経ない「阿吽(あうん)の呼吸」によるものだった。

共産党は今夏の参院選から「相互推薦・支援」を導入するよう訴えている。志位氏は21日の会見で「推薦し合う、
支援し合うやり方が基本だ」と重ねて主張したが、大阪12区補選で浮き彫りになった他党との溝は、
そのハードルの高さを物語る。

もっとも、共産党が投げた「クセ球」には参院選に向けた深謀遠慮も透ける。他党は無所属候補への推薦を
渋ったが、共産党主導で「統一候補」を擁立した実績を基に、参院選の候補者調整で交渉条件を
つり上げる可能性も否定できない。