『週刊新潮』(4月25日号)に面白い記事が掲載されていた。共産党関係者の話として、「小沢一郎さんに
唆(そそのか)されて“無所属”で出馬した宮本岳志元衆院議員ですが、立憲民主党は共闘に応じず、
当選はおぼつかない」と分析されていることが紹介されている。事実、宮本氏を推薦したのは、共産党と自由党、
社民党大阪府連合だけである。

立憲民主の枝野氏や国民民主の玉木氏らは、宮本事務所を表敬訪問しただけである。応援演説にも立たなかった。

結果は予想通りの惨敗だった。今回も含めて大阪12区では9回の選挙が行われたが、宮本氏の得票数は
最低を記録した。供託金没収という惨めさだった。大阪知事選、市長選に続いて維新に叩き潰された。

4月18日付朝日新聞によれば、穀田恵二氏(共産党選対委員長)が17日の記者会見で、宮本氏を
「支援した他の野党議員について、『頭の中には全部入っている』『どういう方々と協力するか、いつでも(名簿を)を
懐にいれて走っている』と述べたそうである。支援しなかった野党への“脅し”とも取れる発言である。
野党共闘はますます難しくするような発言である。

こんな結果になることは、選挙前から想定できた。にもかかわらず宮本氏を知っている人間なら、恥ずかしくて
とても言えないような褒め言葉を連発して、宮本氏に議員辞職までさせて立候補させた共産党の狙いは何だったのか。
よもや宮本氏の放逐ではなかったと信じたいが、結果を見る限り、それが真相かとも思えてきてしまう。

いずれにしろ野党共闘の命運を断ち切り、みずからの退路まで断ってしまった宮本氏の前途はきわめて厳しい。
もはや政界引退しか道は残されていないのではないか。


筆坂 秀世