民主党政権時代を知る永田町関係者「通常ならば新しい党や会派ができると国民の支持は上がるが、
今回の旧民主3会派合流はご祝儀相場ではなくて、不祝儀相場かもしれない」

「悪夢のような民主党」に戻る立憲民主の残念さ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190823-00029745-president-pol

■支持伸び悩みで結集するしか選択肢はなかった

 立憲民主党と国民民主党が衆参両院での会派を合流させることになった。

 しかし、永田町も世論も、今回の結集には冷ややかだ。それもそのはず。
立憲民主と国民民主らが一緒になるということは、安倍晋三首相が「悪夢のような」と皮肉る民主党時代に戻ることを意味するのだ。

■「れいわ新選組」の躍進に強い危機感を持った帰結

 プレジデントオンライン編集部では8月13日にアップした「枝野氏も豹変させた山本太郎の圧倒的な存在感」の中で、
枝野氏の提案は、「衆参両院で」という国民民主側の要望を受け入れる形で合意に達する、と予測した。結局、その予想通りとなった。

 記事で指摘したように、7月の参院選で立憲民主、国民民主ともふるわなかったこと、
山本太郎氏が率いる「れいわ新選組」の躍進に強い危機感を持ったことを考えれば、合流は当然の帰結だった訳だが、
政治メディアはその読みができなかったのだろうか。

 共同通信社が17、18の両日に行った世論調査で立憲民主の支持率は10.0%で前回7月の調査と比べて3.5ポイント減。
国民民主は1.4%で0.3ポイント減。一方、れいわの支持率は4.3%だった。国民民主の3倍もあるのだ。
国民民主が立憲民主との合流を目指さないほうがおかしい。

■会派合流は「民主党の再来」にしか見えない

 ただ、この共同通信社の調査には野党共闘について気になる数字もある。
調査では国民民主との会派合流を提案した立憲民主の対応についての賛否を聞いている。
「評価する」はわずか30.2%にとどまり、「評価しない」は50.3%で過半数に達している。
2党が合流に向かうことを全く歓迎していないのだ。

■要するに3分解した民進党勢力が再結集をするという話

 3会派が合流すれば、衆院での議員数は117人となり、2012年に安倍氏が首相に返り咲いて以来、野党の塊としては最大のものになる。
ただし国民の目には「失敗への道をもう一度歩もうとしているだけだ」とも映る。要するに3分解した民進党勢力が再結集をするという話なのだ。

 立憲民主と国民民主は原発政策、憲法などを巡り温度差がある。
今回の会派合流は、それぞれの違いをある程度理解した上で、目をつぶって手を結ぶことになる。
ただし、そのことは主要政策でばらつきが大きく「何も決められない」と批判を受けた民主党政権時代を思い出させる。
安倍氏ならずとも「悪夢のよう」だと思う国民も少なくないだろう。

 通常ならば新しい党や会派ができると国民の支持は、上がる。
本当に期待しているかどうかはさておいて、新しもの好きの国民による「ご祝儀相場」が期待できるのだ
しかし、今回はご祝儀相場は期待できないだろう。新会派は国民にとって新しいものではなく、
失敗した「古いもの」が再結集しているだけだからだ。

■「れいわ」の山本氏を取り込むしかないが……

 民主党政権時代を知る永田町関係者は自嘲気味に語る。

 「ご祝儀相場ではなくて、今回は不祝儀相場なのかもしれない。それでも今、できることはこれぐらいなのだよ」

 会派合流後、立憲民主、国民民主などは新党結成など新たなステップを模索することになるだろう。
その時、かつての民主党とは違うものに見えるようにするのが最重要課題だ。

 民主党を超えた存在に見せるためには、参院選でブームを起こした「れいわ」の山本氏を取り込むしかないのではないか。
それを可能にするには山本氏らが、立憲民主、国民民主らの会派に魅力を感じることが必須だ。
先に紹介した共同通信社の調査結果を見るまでもなく、その道は険しい。