NHKで慰安婦問題の番組を作っていた女性Dにインタビュー
検定教科書への記載を境に保守派が一斉に巻き返してくる動きに当時が思い出される

日本の「慰安婦」をめぐる議論はなぜ後退したのか/池田恵理子さんインタビュー
https://wezz-y.com/archives/77525

>池田 この年には、検定に合格したすべての中学校の歴史教科書に「慰安婦」に関する記述が載ることになったのです。
>これに焦った「慰安婦」否定派の人々が結集して教科書会社攻撃を始めます。「新しい歴史教科書をつくる会」も1997年に発足し、
>安倍首相が事務局長を務めた議員連盟「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」
>(現在は「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」)や、日本会議も一斉に動き出しました。

>そして私はこの年を境に「慰安婦」を扱った番組をつくることができなくなりました。1995年は4本、1996年は3本、
>NHKで「慰安婦」をテーマにした番組をつくれましたが、1997年からは何本提案を出しても、まったく企画が通らなくなったのです。
>もちろんニュースでは「慰安婦」問題を扱います。でも、それらは「慰安婦」問題の実情や被害の実態を取りあげるのではなく、
>「慰安婦」問題を日本と韓国の政治的な対立として描く傾向がありました。

>そんななか、2001年に起きてしまったのが、1月30日放送『ETV2001 シリーズ「戦争をどう描くか」第2回『問われる戦時性暴力』』をめぐる番組改変問題です。
>──番組では、女性国際戦犯法廷を取り上げ、被害女性や元兵士の証言などが流される予定でしたが、放送直前に中川昭一経済産業相(当時)と
>安倍晋三内閣官房副長官(当時)から「政治的圧力」が入り、放送内容が大きく改変されたと報じられた事件です。
>池田 そうです。このような報道への政治介入事件まで起こるようになり、ニュースなどで「慰安婦」問題は報じられるけれども、
>被害の実態や被害女性たちの人生といったところまで踏み込んだ取材をすることがなくなっていきました。
>教育の世界でも報道の世界でも、「慰安婦」がタブー視されるようになっていくのです。