菅新首相“叩きのめされ内閣”誕生 
「脱派閥」掲げ改革意気込むも…「こんなはずじゃなかった」

 人事を巡る攻防は、首相が14日に党総裁に選出された前後から本格化。主戦場は後任となる官房長官だった。
 首相の本命は「梶山弘志経済産業相」(周辺)。師事した故梶山静六氏の長男で、自身と同じ無派閥とあって「菅カラー」の打ち出しには最適だった。

 だが、政界引退後も、竹下派や参院で隠然たる力を振るう青木氏が目をかける加藤勝信氏の官房長官起用に向けて動いた。
 最大派閥の細田派に影響力を持つ森氏も援軍に回った。
 2人はともに2000年に病で倒れた小渕恵三首相の後継人事をホテルで話し合った「5人組」のメンバーで「往年の派閥政治で活躍した80歳すぎの議員バッジもない妖怪」(無派閥議員)。
 首相は15日午後「加藤氏では破壊力が足りない」とあらがう姿勢を示したが大勢は決していた。

 肝いりの携帯電話料金引き下げなどの改革の切り込み役になる総務相人事でも待ったがかかった。
 首相に近い森山裕国対委員長や河野太郎氏の名が浮上したが党側が反発。
 執行部や族議員を中心に「うるさ型の河野氏に口を出されるのを嫌った」(麻生派幹部)。
 混乱の中、二階俊博幹事長が国家公安委員長だった二階派の武田良太氏を横滑りで押し込み、ベテラン平沢勝栄氏の初入閣にも成功した。

 首相はブレーンの竹中平蔵慶応大名誉教授や三木谷浩史楽天会長兼社長、新浪剛史サントリーホールディングス社長らの入閣を一時、検討したが
 「党内には優秀な議員がたくさんいる」と二階氏が否定的で断念。
 叩き上げが叩きのめされて迎えた船出。かじ取りを不安視するささやきが早くも漏れ始めた。 

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