「中央公論」 1992年5月号掲載

特集 日本国憲法45年目の着ごこち
小沢一郎、江田五月 対談 「タブーはもはやない」

小沢―― 憲法の解釈、憲法そのものも、世界情勢に合わせて変えていいはずなのですよ
江田―― 与党も野党も従来のスタンスに固執するのはやめて虚心の議論をするべきです

憲法は「不磨の大典」ではない

二月二十一日に出されました
「国際社会における日本の役割に関する特別調査会」いわゆる小沢調査会の答申案は、
従来の政府公式見解を変えることによって、自衛隊の国連軍参加は合憲であるという認識を打ち出しました。
これまでは護憲か改憲か、という二つの対立のなかで憲法問題が語られてきたわけですが、
今回の答申案は、その枠組みを超える「解釈改憲」という立場を出したわけです。
また、「積極的・能動的平和主義」、「国際的安全保障」と、
新たな概念を提議した点でも、画期的な意味をもつものと思われます。
それだけに、野党はもとより自民党内部においても賛否両論のようです。
また、継続審議中の「国連平和協力法案」(PKO法案)との絡みもあり、
そういう面でもさまざまな問題を抱えているようですが、
ここでは憲法そのもの、あるいは「解釈改憲」の是非に焦点を絞って、論じていただきたいと存じます。