小沢 べつに「護憲」がいけないと言っているわけではなくて、
「憲法賛成」という意味で「護憲」という意見ならばいいのですよ。
しかし、憲法を改正したほうがいいのではないかということ、
あるいはそれについて論議することすら「反動」と決めつけ、
意見そのものを封じてしまう風潮がある。

日本人は、とくにそういう面をもっています。
一つの事柄が正しいとなると、それ以外のものは認めない、絶対視してしまう。
しかし世の中に「絶対」のものなどないのです。
表があれば裏もある。だから、もっと素直な気持ちで憲法をとらえていかなければならない。

江田 私の基本的立場は、現在の憲法はなかなかよくできていると思っている、その意味では「護憲派」です。

第二次世界大戦という未曾有の犠牲者を出した戦争が終わり、
大惨事を経たあとのスタート地点で新たな世界の枠組みを決めた。
そのひとつが国連であり、日本においては国連憲章と表裏一体の日本国憲法です。
冷戦が終わったいま、終戦直後の大精神は、変わるどころかますます充実する時代に入っていると思います。
むしろ、いまの憲法は早産だった。
そして冷戦時代には保育器に入れられていた。
それがやっと一人だちして歩いていける時代になってきたのではないか。