維国案は与党案にない「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」などの文言を盛り込んでおり、自民保守派には「維国案が一番」との声が広がっていた。
代議士会で党議拘束を外すよう求める声が上がるなど、党内は「採決すれば造反が出る」(関係者)との懸念が一気に強まった。

自民と維新の修正協議は終始維新ペースで進んだ。岸田文雄首相も党幹部と電話で連絡を取り合う中、自民は9日朝までに維新の要求を「ほぼ丸のみ」(関係者)し、委員会開始の30分前の国対委員長会談で、公明と国民を交えて合意内容を確認した。
自民の世耕弘成参院幹事長は「(保守派が)賛成しやすい内容になった」と語った。

次期衆院選で野党第1党の座を狙う維新は勢いづいている。遠藤敬国対委員長は記者団に「自民党は助かったのではないか。朝から連打で感謝のメールが来る」と胸を張った。
「これが実のある国会だ。暴れて実があるのか」と述べ、岸田政権への対決姿勢を強める立民を当てこすった。
 
立民は対抗意識をむき出しにする。泉健太代表は記者会見で「本当に残念だ」と修正案を批判。
安住淳国対委員長は記者団に、修正案が「性同一性」を「ジェンダーアイデンティティ」としたことに触れ、「田舎のおじいちゃん、おばあちゃんが分かるのか。保守政治家のやることではない。日本の法律史上まれに見る汚点だ」と非難した。