●ヒンディー語 (Hindi)
 インドで唯一の連邦公用語で、専らデーヴァナーガリ文字で表記される。これは
憲法第343条で明確に規定されており、ラテン文字やウルドゥー文字での表記は、
代替手段に過ぎない。また、ウルドゥー語との差別化を図るために、アラビア語や
ペルシア語に由来する語彙が意図的に排除されている。


●ウルドゥー語 (Urdu)
 パキスタンの国語で、ペルシア文字の影響を色濃く受けたウルドゥー文字で表記
される。パキスタン以外では、パキスタンが領有を主張するインドのカシミール地方
(ジャンムー・カシミール州)でも公用語として扱われている。ヒンディー語と比べて、
アラビア語・ペルシア語由来の語彙が数多く残っている点が特徴。


●ヒンドゥスターニー語 (Hindustani)
 インド北部の土着言語で、ヒンディー語とウルドゥー語の総称。必然、両言語を
方言と見做す呼称でもある。サンスクリット語(梵語)やパーリ語などを基盤にして、
ムガル帝国の時代には、アラビア語・ペルシア語・チャガタイ語からの借用語彙を
ふんだんに取り入れ、非常に語彙の豊富な言語となった。

 1947年にインドとパキスタンが分離独立すると、言語もそれぞれヒンディー語と
ウルドゥー語に分裂して、以後、両言語は統合されることなく現在に至っている。