今はあまり聞かなくなったが、昔は日本語の中にも時々「アドホック」なんて言葉が使われたもんじゃ。
吾人が若い頃行き倒した新宿紀伊国屋にもアドホック店なんていう別館があった。

これは言うまでもなくラテン語の ad hoc から来ている。
原義は「これ(hoc)に対して(ad)」であり、英語で an adhoc committee「特別委員会」などという時の「特別な」というニュアンスは元々ラテン語には無かった。
hoc は指示代名詞 hic「この」の中性形であり、勿論単独で名詞的にも用いられる。
これに対して、illud「あれ」は同じく指示代名詞 ille「あの」の中性形で、日本語同様「これ」と「あれ」は通常きちんと使い分けられる。

吾人は高校2年生の時に、独学でフランス語を始めたが、いきなり違和感を感じたことを覚えている。
フランス文語では「これ」も「あれ」も基本的にce [sə] で済ませる。
こそあど言葉をきちんと使いこなす日本人として、おいおいフランス人よ、そんなんじゃ駄目じゃないですか!と叫びたくなったわいw