・訂正
ウクライナ語の「羊」の正確な綴りは вiвця、「羊飼い」のそれは вiвчар

>>90 の記述について一部語弊を生みそうなので一言追加
ウクライナ人の文化に於いて、羊飼いという職業が少し異質なものと捉えられているような印象を与えてしまったが、
羊飼いという仕事自体は、農耕民族としての印象が強い印欧語民族にとっても異質なものでも何でもなく、定着型の農耕文化の前の段階として、移動型の放牧文化も当然経験していたと思われる。
というのは古代ギリシャ語の羊飼いを意味する語 ποιμην (poimēn) と現代リトアニア語のそれ piemuo(属格形 piemens)が著しい一致を示すからである。

リトアニアのような低地や川沿いの地域では、放牧するより穀物を作る方が圧倒的に効率的なので、バルト民族は古来より農耕民族であるが、それにもかかわらず、羊飼いを意味するその古い印欧語詞が今も堅持されていることは興味深い。
逆に西部ウクライナのカルパチア山脈のような山間部では、未だに牧羊は珍しくなく、特にルーマニア側のトランシルバニア地方では今も盛んに行われている。
гайдар のようなチュルク語詞を借用して取り入れたのは、、世界有数の穀倉地帯として有名な中部から東部ウクライナの人たちが、広大なステップを馬で駆け抜けながら放牧によって生業を立てるチュルク民族の羊飼いを呼ぶためだったと思われる。