米を蓄るときは鼠喰或は虫付、ふけ米等の出来て減ずること多きも、
金を蓄ふるときは、利息出来て、増すこと多きが故に、
年貢も金納を多くし、米を払ひて、金にするを良とするとは、小人の利術にして、君子の所為にあらず、
士農米穀を蓄へざるが故に、工商是を卑みて金銀を貴ぶなり、
もし士農金銀を卑み、米穀を貴てこれを蓄積するときは、工商は士農に役せられて常に米穀を求むること急なり、
然るに士人米を卑みて蓄積せず特に金のみを貴ぶが故に富商の鼻息を仰で憂喜をなすに至り、
工商豊かにして、士農困む是れ上下地を易る根原なり、
此弊を改むるときは工商常に米穀に困み、士農を仰でその業を励むに至れば、物価は自然に平準なるべし

馬鹿の思想