「歳月」で司馬は「河野敏鎌は日本法を無視して清律を適用しろと意見書を出した
けしからん」ととんでもないことをのたまってる

しかし河野の意見書は、清律の規定に言及したあと
「各々国体の異なるあれば、亦此の律を余り引用することを得ず」と否定的な意見を付している
この意見書のどこを読んだら清律を適用したことになるのか

だいたい当時の刑法(新律綱領・改定律例)は明律・清律を参考にして作ってるんだから
罪名が分からない時はルーツの1つである清律も参照するのが当たり前

河野の意見は「日本法には謀反大逆を直接処罰する規定はない、
兇徒聚集罪は謀反にも適用できるものではない、親法の清律もあまり参考にならない、
だから兇徒聚集罪との刑の権衡を考えて三類型に分けて処断しましょう」というもの
それまでの外山・愛宕事件のような謀反事件でも、処罰の根拠すら示さず
「朝憲をはばからず…不届至極だから自刃しろ」とかいう野蛮人判決を出してたんだから
法の欠缺に対して河野案はむしろよく考えた部類