松浦武四郎『知床日誌』
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ru04/ru04_03754/ru04_03754.html
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 その惨状を武四郎は『知床日誌』に次のように記している。
 〈舎利、アバシリ両所にては女は最早十六七にもなり、夫を持べき時
 に至ればクナシリ島へ遣られ、諸国より入来る漁者、船方の為に身を
 自由に取扱はれ、男子は娶る比に成らば遣られて昼夜の別なく責遣は
 れ、其年盛を百里外の離島にて過す事故、終に生涯無妻にて暮す者多
 く、男女共に種々の病にて身を生れ付ぬ病者となりては、働稼のなる
 間は五年十年の間も故郷に帰る事成難く、又、夫婦にて彼地へ遣らる
 る時は其夫は遠き漁場へ遣し、妻は会所また番屋等へ置て番人、稼人
 (皆和人也)の慰み者としられ、何時迄も隔置れ、それをいなめば辛
 き目に逢ふが故に、只泣々日を送る。〉

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