http://www.kpedia.jp/w/18448
http://language.psy.auckland.ac.nz/austronesian/language.php?id=280

面白い対応例を発見した
朝鮮語で歯を指す言葉に「이빨 ippal」というのがある
そしてオーストロネシア祖語では歯は「*nipen」と再構されている

「이빨」の「이」単独で歯の意味があり、これが中期語では「니 ni」だったことを踏まえると
*nippalと*nipenでより近くなる

おそらくこれは5000年前の九州(いわゆるスッカスカ地帯)を中心として話されていた西部縄文語の語彙だったと思われる

歯は口の中に「ナル(生る) nar-」もので、また歯茎に根を「ハル(張る) par-」器官
この二つの動詞がこれらの語源とみられる

・「ナリハリ(生り張り) *nari-pari」から nari-pari > *nriper > *nipen これがオーストロネシア祖語に入る
・「ナリ」から nari > *nri > *nji > ni > i と変化をたどって朝鮮語の「이」
・「ナリ」と"張る所"という意味の「ハラ *para」(「ハリ」と同根)との間に接続の"s"を入れて *nari-s-para > *nri-s-par > *nippal > ippal となって「이빨」
・"張る所"という意味の「ハラ *para」が*para > *paa > pa > ɸa > ha これが日本語の「ハ(歯)」
・上古漢語の「牙 (/*m-ɢˤ<r>a/または/*ŋraː/)」はシナチベット祖語*d-ŋaに遡るがこれを*na-ka-nar ナ(名、大地)-カ(彼、個、モノ)-ナル(生る)と解釈すれば不可解な接中辞<r>の起源も説明できる

日朝に刃物や歯の名をもたらした言語はかなりの広がりがある様だ
上古漢語のより正確な復元がされている今、アルタイ語族仮説は見直して日中朝の原始的共通語彙を探るべきだろう