>>37
山王外記という本は太宰春台の著作だぞ。ゴシップ本なんてとんでもない。
この本のおかげで後世の人はどれだけ助かっているか知れない。
俺は、この著作の信頼性から、絵島が大奥に生島を入れたという話を真実と考えている。
山王外記は、少なくとも俺の知る限り重要な情報を三つ残している。
まず、綱吉の生類憐れみの令発布に至った経緯。
仏教に熱心で迷信深い生母桂昌院が、その帰依する僧隆光の影響の勧めで、継子誕生
を祈願して行われたものという。最近は否定説も多いが、長く学校でも教えられてきた
この見解は山王外記の記載が元になっている。
第二は、綱吉の身長は124センチしかなかったというもの。岡崎・大樹寺の位牌堂に
ある歴代将軍の位牌は身長をあらわしているらしい。
この中で、家継と綱吉の位牌だけ極端に短い。綱吉は小人症ではなかったかという。
この位牌の件は最近注目を集めているが、ネタもとは山王外記である。
第三は、貨幣改鋳に関する荻原重秀の言葉を記録したこと。
「幣は国家の造るところ。瓦礫をもってこれに代えるとしても、これを行うべし」。
貨幣なんか瓦や石くれでもいいのだというこの言葉は、萩原が兌換貨幣に拘泥ぜず、
不換貨幣の存在を肯定していたという事実を示すものだ。
萩原は江戸中期の人であるにかかわらず、金融論・貨幣論でおそらく世界最先端の
考えを持っていたことがこれで分かるのだ。
こういう著作に載っている話だから、絵島の話もそうそう軽く扱うことはできない。