>>337-338
>>158-279の笠原和夫氏も、広島人のパッと燃える気質を云うとってじゃのう。
広島カープの応援歌にも燃えろ、燃やせはあるけど。
「この辺の男たちは、喧嘩でも遊びでもその時々でパッと燃えてあとはケロリと
している、と地元の人が教えてくれた。その人も、巡査ややくざを二人半殺している。
半とは、殺し損ねて片輪にしたらしい。取材で歩いていると、美能氏の説明で分る
のだが、誰かを殺したり或いは半殺しの目に遭ったとかいう人たちがウヨウヨ
繁華街を歩いている。それがみんな今は陽気で円満で人の善さそうな顔をしている
から面白い。現在はパッと燃えたあとはケロリの状態であるからだろう。
その代わりカッとなった時はとんでもないことをやる。金がないというので、
ガス・バーナーを抱えて港に飛んでゆき、繋留してあった一万トン級の貨物船の
ドテッ腹に穴をあけて沈め、あとでスクラップ屋に早替わりして買いに行き一儲け
した、などという話はザラにある。こうした破天荒な荒仕事になってくると、
映画の中に入れてみたくても再現が不可能である。
第三部の「代理戦争」の中で使った指詰りて代わりに手首を叩き斬ったという話も、
信じられないだろうが実話である。シビれるだけで痛くないそうだし、その日一日
だけは割と元気でいられるらしい。そういう無鉄砲なことをする若者たちも
二五、六になって少し金も溜まり、好きな女も出来てくると足を洗って思いがけない
ほど真面目な働き者になるそうである。概して貧乏で育った若者ほど、そういう
人生コースになる率が高いと云う。トコトン極道を貫いて、殺されたり刑務所に
送られたりする連中は、意外と中産階級以上の家の出の者に多い。やくざが命を
張るのは金の為ではなく見栄とか意地の為だという一つの傍証になろう。
広島極道像の特色もさることながら、面喰らったのは広島の方言であった。…」