女をイカす秀吉の誕生 6本の指を駆使し悦ばせ…虚構の面白さを追求
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180115/soc1801150003-n1.html

★花村萬月さん『太閤私記』講談社(1700円+税)

 正攻法の時代小説はもう書きたくない。
ファンタジーを思いっ切り膨らませた“萬月ワールド”の秀吉は人たらしで、
美女にモテモテ、自慢のテクでイカセまくる!(文・南勇樹 写真・松本健吾)

 −−秀吉の出自を、鍛冶を生業とする山賊のような「山落(やまおとし)」としたのも虚構ですか

 「そうですね。ただ、秀吉は農民の出だといわれてきましたが、最近の学説では、どうもあやしい。
山の民の可能性がないわけでもないんですよ。
彼らは、里の民との交わりができませんから、どうしても近親婚を繰り返して血が濃くなってしまう。
そこからのし上がってゆくんです。また、彼らの祖は朝鮮半島からの渡来民だとされています。
そこから出た秀吉が後に朝鮮出兵をするという『歴史の皮肉』ですね」

 −−奇形の6本の指を駆使して女たちを悦ばせる。「猿」顔にもかかわらず美女にモテモテ

 「そこは創作、ファンタジーですから(苦笑)。
でも、愛嬌(あいきょう)があって器用だというイメージはあるでしょう。
女に好かれない男はのし上がることができない。
秀吉は、交わらない女にまで好かれたんです。男に対しても“人たらし”で、懐に入るのがうまい。
信長に対しても、力量を見極め、弱点を探り、愛人を譲ってまで全力で取り入っています。
まぁ、信長のような男色には興味はなかったようですが…」

 ■あらすじ 尾張の西の山中で鍛冶を生業とする「山落」の一族に生まれた日吉丸(後の秀吉)。
里の住民とは一線を画され、近親婚を繰り返したゆえか、手の指が6本あり子種はない。

 極端な短躯で容貌は猿そっくりだが、なぜか女には愛される。
天下取りを夢見るようになった秀吉は信長に自分の愛人を与えてまで主君に食い込み、出世の階段を登ってゆく。
「信長私記」に続く「私記」シリーズ第2弾。