>>46
伊勢遺跡の楕円の円周上に建てられたとみられる建物のうち西側の2棟について見た。
次に、東側の建物について見てみる。

東側の円周上の建物は、3棟。
これらの東側の建物が向っている中心点から見て、その中心点を通る東西線に対して北に30度の角度の軸線上に乗っているのが建物SB9で、
この角度は2年目の二十四節気の夏至点と重なる。
次に、その建物SB9の30度の角度からさらに北へ10度進んだ40度の角度の軸線上に乗っているのは、建物SB12。
建物が向っている中心点を通る東西線に対して北へ40度の角度の軸線に重なる二十四節気は小満点なので、
建物SB12は2年目の二十四節気の小満点の方角に向けて建てられていると考えることができる。
この建物SB12は、特別にテラス状の張り出しが設けられた建物とされている。
この小満点は1年目の二十四節気から続いてきた2年目の二十四節気の小満点であるが、注目点は、実際の太陽は30度の角度の夏至点まで北上して来ると、
そこから一転して南へ折り返して秋分や冬至方向へ戻ることになるため、40度の角度の小満点には実際の太陽は進まないことになる。
それにもかかわらず、特別仕様の建物を40度の角度の軸線上に建てたということは、
二十四節気の暦上の節気である小満点の日に実際の太陽の位置とは無関係になんらかの行事を行ったと考えることができる。
二十四節気の小満点は5月21日頃で、西日本では走り梅雨が訪れる時期で、田植えの準備が始まる頃。
この小満点と重なる方角に特別仕様の建物を建てたということは、二十四節気の暦にのっとって野洲平野の田植えの準備に関わる祭事が行われたと考えることが可能であるようにみえる。

さて、次に建物SB8であるが、このSB8は伊勢遺跡の円周上の建物のうち最も興味深い建物である。
ゆっくり見ていくことにしよう。

                                  続く