>>52
                           続く

御上神社の社殿は、由緒によれば、養老二年(718年)に創建されたとされている。
その社殿の場所は、元々は三上山を遥拝する所だったとされる。
では、三上山の神はどのような神か。
御上神社の主祭神は天之御影命で、三上山の奥宮では天之御影神が祀られている。
由緒によれば、孝霊天皇六年六月十八日(旧暦)に、天之御影神が三上山山頂に降臨した。
天之御影神の字義は、太陽の光の神ということになる。
旧暦6月18日は、新暦では7月20日に当たる。
旧暦6月18日にその山上で神降ろしの祭事が行われ、山上祭と呼ばれている。
そのあと、天之御影神は麓の御上神社に迎えられて祀られるが、これは影向祭と呼ばれている。

円周上の建物が二十四節気の特定の節気と重なる方角に建てられていることをこれまで見てきたが、
天之御影神が降臨した7月20日は二十四節気と関連するだろうか。
二十四節気に関連するとすれば、7月20日前後では、大暑点がみられる。
一年で一番暑い時期が大暑で、7月22日、23日頃が大暑の初日である。
とすれば、7月20日に太陽の光の神が山上に降臨して麓の神社に迎えられ、その後の数日の神祭りの間に暦上の一年で最も暑い時期がスタートすることになる。
気温の上昇と稲の発育は相関関係があるので、7月20日に太陽の光の神が降臨することと、それが二十四節気の大暑の初日の7月22日、23日の直前であることは、
関連があると考えることが可能だ。
しかしながら、御上神社を通る軸線の角度は大暑点を指す20度ではなく、大暑点よりさらに2度進んだ18度の角度なのである。
この2度のずれは、どのように考えるのが良いだろうか。

                             続く