>>52
                            続く

ここで、近畿地方の気温の推移を見てみることにしよう。
近畿地方の梅雨明け平年日は、7月21日である。
そして、梅雨明けして太陽光が直射することに伴い気温が上昇するが、梅雨明けまえの30度から一気に1度上がる31度が記録されるのは7月25日からとなる。
二十四節気の大暑の初日は、この間の7月22日、あるいは23日である。
このことを御上神社の祭礼と重ねてみると、天之御影神が三上山に降臨するのが7月20日で、近畿地方の梅雨明け平年日が7月21日である。
そして、その二日、あるいは三日後の7月22日、23日に二十四節気の一年で最も暑い時期の始まりである大暑の初日を迎えるが、
実際に近畿地方で31度の最も暑い時期が始まるのは、7月25日以降になる。
ここで、御上神社を通る軸線の角度をみると、大暑点の角度である20度より2度南へ進んだ18度であり、この2度の角度は日数では6日に当たり、大暑点の7月22日、あるいは23日から6日後の28日、或いは29日になる。
つまり、御上神社を通る軸線は、実際に野洲平野の気温が一気に上昇して真夏日を迎える頃と重なり、18度のその軸線は二十四節気の暦日ではなく、実際の野洲平野の気温上昇合わせてに設定されたものだと考えることが可能になる。
このように考えれば、この18度の角度の設定は、実際に三上山の神を遥拝して行う祀りのための場所をそこに置くために決められた方位であり、その方位を示すために建物SB8が18度の軸線上に建てられたということが推定されるのである。
これは、西側の円周上の建物SB5が、二十四節気暦の冬至点よりも2度進んだ実際の冬至の日没の方位に合わせて建てられているのと同じであり、一年で最も暑い時期の始まりに行う祭祀と実際の気温の上昇とを合わせた結果であると考えることが可能だ。

                              続く