吉田松陰 幽囚録

現代語訳編集
日が昇らなければ沈み、
月が満ちなければ欠け、国が繁栄しなければ衰廃する。よって、国を善良に保つのに、むなしくも廃れた地を失うことは有り得て、廃れてない地を増やすこともある。
今、急いで軍備を整え、艦計を持ち、砲計も加えたら、直ぐにぜひとも北海道を開拓して諸侯を封建し、
隙に乗じてカムチャツカ半島とオホーツクを取り、琉球を説得し謁見し理性的に交流して内諸侯とし、朝鮮に要求し質を納め貢を奉っていた昔の盛時のようにし、
北は満州の地を分割し、南は台湾とルソン諸島を治め、少しずつ進取の勢いを示すべきだ。その後、住民を愛し、徳の高い人を養い、防衛に気を配り、しっかりとつまり善良に国を維持すると宣言するべきだ。
そうでなくじっとしていて、異民族集団が争って集まっている中で、うまく足を上げて手を揺らすことはなかったけれども、国の廃れないことは其の機と共にある。