>>711
東條と比較するんなら、そうでしょ。

東條は、開戦時に総理だったことと東京裁判でA級戦犯として処刑されたことで、
目立つ存在だったってこともあるが、
それと共に、戦後の反軍平和主義の風潮の中で「悪いのは陸軍」という観念が支配的になって、
陸軍出身の東條が、わかりやすい戦争の象徴にさせられた。だから有名なの。

でも、実際に東條が中心になるのは対米戦争がほとんど不可避になってから。
それまでの政府の中心にいたのは、基本的には近衛なんだけど、
彼は文官だから、陸軍悪役論の立場からは戦争の象徴としてふさわしくない。
だから、反軍主義の立場からは批判しにくかったんでしょ。

しかも、基本的に陸軍官僚以外の何者かではなかった東條と違って、
近衛は広い層に知り合いを作っていて、
その人たちが戦後の支配層になってくんだよね。
その広がりは、政治的には保守革新を問わないし、
しかも、戦後二十年経った頃には、近衛家はまたも皇室と親戚になってしまう。

陸軍悪役論&近衛コネクションが、
近衛を避けて東條に戦争責任を集中させる傾向を生んで、
それが知名度に反映したんじゃないかな。