書いたのは私/中国が描く、建国100年までに世界の覇権を握るシナリオ
ハドソン研究所中国戦略センター・マイケル・ピルズベリー
週刊現代(2015/11/21)

 アメリカ軍は本来なら、中国が2年前に南シナ海に進出した時に、行動しておくべきでした。そうしていたら、
7つの人工島や3つの滑走路などは造られずに済んだ。しかし当時のアメリカ連邦議会は反対した。中国は、
アメリカ企業にとって最大の市場であり、敵ではないというわけです。
 もう一つの理由は、米中間で、秘密の軍事協定があるからです。

――本書の第3章に書かれた米中間の「秘密協定」のくだりは、この438ページもある大著の中で、最も衝撃的
でした。いわゆる1973年10月から11月に米中間で交わした「約束」です。
     (中略)
――それは本当に、衝撃的な話です。冷戦下にあって、資本主義の覇権国であるアメリカと、社会主義の大国
である中国は、軍事的には激しく対立しているというのが世界の常識でした。その極秘の軍事援助に関して、
いまだから話せる内容はありませんか?

 本書は、私の原稿を出版する前に、CIA、FBI(連邦捜査局)、国防総省に査読してもらい、彼らが削除を要求
した部分は従いました。だから私が話せるのは、本に書いてあることまでです。
 一つだけ言えるとすれば、その極秘の軍事援助は、いまだに一部、継続しています。

――その事実は、アメリカのアジアの同盟国である日本政府には、伝えてあるのですか?

 日本は憲法で、軍隊は持たないと宣言している。また、日本版のCIAと言える組織もない。いくら同盟国とは
いえ、そのような国に教える義務はないというのが、アメリカ政府の立場です。
 何より中国が、「どうか日本には秘密にしてほしい」と強く言ってきています。それに、日本政府からも正式に
要請されたことはないはずです。

――そのようにアメリカが極秘で軍事援助した中国が、今や東シナ海に防空識別圏を敷き、南シナ海では次々
に人工島を作って自国の領土だと主張している。こうした事実をどうお考えですか?