【再掲】

◆「中国兵は中支那方面軍軍律の適用対象ではない」という主張には、根拠がない◆

1.
中支那方面軍軍律第一条の本文は本軍律の適用範囲を記しているから、主語・主体が「本軍律」である
ことは明らかだ。
ただし書は本文の例外であるから(資料1)、主語・主体は本文と同じ「本軍律」だ。
このように、本文とただし書はつながっている(資料2)。実際に、本文とただし書の内容は対応している。

2.
法令用語「準用」の意味は、端的に言えば、ある法令を別の法令に借用して当てはめる、という
ことだ。(資料3)(資料4)
つまり、ハーグ陸戦条約の規定を本軍律(中支那方面軍軍律)に準用する、ということだ。これを「準用規定」
という。(資料3)

これにより、ハーグ陸戦法規に違反して敵対行為した中国兵を、中支那方面軍軍律違反として、
中支那方面軍軍律の罰則規定で処罰することができる。(資料5)(資料6)(資料7)
これは軍律の目的、「作戦地・占領地の安寧保持、自軍の安全確保」に合致する。

反対に、ただし書を「中国兵はハーグ陸戦条約の規定を準用する」という解釈では、ハーグ陸戦法規違反して
敵対行為した中国兵を処罰することはできない。これは軍律の目的に反するので、中支那方面軍軍律に
敢えて規定するはずがない。

実際に、国際法学者や研究者の解説通りに、中支那方面軍軍律は実施されている。ただし、軍律は制定されて
いたが、軍律会議が実施される機会がほとんどなかったことは事実だ。(資料10)
残っている資料からも、南京市外で民間人の便衣兵(遊撃隊)が3件処罰されただけだ。
(「続・現代史資料6軍事警察」、「ある軍法務官の日記」を参照 )