中支那方面軍軍律
第一条 
本軍律は帝国軍作戦地域内に在る帝国臣民以外の人民に之を適用す …(本文)
<但し中華民国軍隊又は之に準ず軍部隊に属する者に対しては陸戦の法規及慣例に干する
条約の規定を準用す> …(ただし書)

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証拠@
ただし書は、主に本文の内容に対する例外や制限を規定するものである。
よって、ただし書も本文と同じ中支那方面軍軍律の一部である。
省略されているが、ただし書の主語も本文と同じ「本軍律」である。

(参考)
「ただし」
「ただし」は、主に@本文の内容に対する例外や制限を規定する場合に用いられるほか、
A本文の一部の内容についての追加的、説明的な規定をする場合、B解釈上の注意規定を置く
場合などに用いられます。
「条文の読み方」法制執務用語研究会 有斐閣


証拠A
本文の「適用という行為の主体・主語は、「本軍律」である。
ただし書の「準用す」という行為の主体・主語も、「本軍律」である。
しかし中国兵は、「準用す」という行為の対象であり、主語ではない。
しかも中国兵がハーグ陸戦条約の規定を「準用す」では、中国兵がハーグ陸戦条約の規定を
いったい誰に(何に)準用するというのか? 意味不明である。
よって中国兵は、「準用す」という行為の対象であり、主語ではない。

(参考)
http://babel-edu.jp/pst-kougi/kyouzai/nihongo_824.pdf
法律文章日本語表現ルールブック
(1) 主語が行為の主体である場合
契約文でも法律文でも、述語部で述べる行為の「主体」を主語に持ってきます


証拠B
ただし書を「中国兵はハーグ陸戦条約の規定を準用する」という解釈では、ハーグ陸戦法規違反
して敵対行為をした中国兵を処罰することはできない。ハーグ陸戦法規には罰則規定が記載されて
いないからである。従って、中支那方面軍軍律にハーグ陸戦法規を準用することで、中支那方面軍軍律の
罰則規定でハーグ陸戦法規違反の中国兵を処罰することができる。