西郷はよく悲壮な死生観や英雄観を美しい漢詩にして残したので、西郷自身もそのような人物なのだろうと思っている人が多い。
一方で旧藩時代に同僚だった市来四郎は「西郷は掛け軸などの書をよく描くだけで、学識は無く、文章をつくる能力も無かった。」
と酷評しており矛盾している

なぜなのかと思っていたが、たまたま読み返した重野安繹の本の中に"謎"を解く答えがあった

「西郷の詩は、拙者(重野安繹)が国や大島に居る自分は直してやった。
拙者と離れてから後は、川口良次郎という人に詩を直してもらった。
また児玉源之丞天雨にも直してもらった。」

重野安繹(薩摩藩、江戸昌平黌(当時の東大)に学び、維新後は東大教授)
川口良次郎(薩摩藩の学者)
児玉源之丞天雨(薩摩藩、江戸昌平黌(当時の東大)に学び、維新後は宮内省に出仕)

なんのことはない天才クラスの文学者に直してもらっていたのでした
どおりで時代を超えて、読む者に刺さってくる詩なわけです

もっともこれだけのメンツに相手にしてもらえて直してもらえる西郷さんにもそれなりに素質があったのでしょうけど