サンデー毎日 2023年7月16日号
・〔倉重篤郎のニュース最前線〕与野党の"石橋湛山派"がついに決起した! 自民・古川禎久×国民・古川元久 政界リベラル再編宣言/与野党の"石橋湛山派"がついに決起した! 期待はしよう。だが覚悟はあるのか=佐高信
https://mainichibooks.com/sundaymainichi/backnumber/2023/07/16/
https://dmagazine.docomo.ne.jp/article/cb6457a44ef437e7b975aea779b706c4ff44fd9b539c4f23c5b06d6c08701bbb/d04042a337579f39875aba95797994af25e4a8cefa0a36c5bc0479b2cf246199/
https://mainichi.jp/sunday/articles/20230703/org/00m/010/002000d
【元久】 一つは時代認識だ。今の世界は100年前と似ている。インターナショナリゼーションの進展で相互依存が深まったのに、
ナショナリズムの高揚などから二つの世界大戦に至ったのは歴史の教えるところ。日本も国策を誤ったが、あの時湛山の
「小日本主義」に舵を切っていたら日米戦争はなかった。日米戦争がなければ、沖縄問題、北方領土問題はなく、外国軍隊が
ずっと駐留(在日米軍)するなんてこともありえなかった。歴史というのは、螺旋階段のように同じようなことが姿を変えて繰り返さ
れる。「愚者は経験から学び賢者は歴史から学ぶ」という。「新しい戦前」と言われる今の日本が湛山から学ぶべきものは多い。

【禎久】 日本政治の最大の課題は、米中対立の中で日本がどう生き延びるかに尽きる。日米同盟で中国を封じ込める、という
今のやり方では行き詰まり、下手すると国を失う。 米中対立の本質は覇権争いで、利害が合えばいつでも手を握る私闘だから
だ。周辺国はこれに巻き込まれるべきではない。湛山は1921年のワシントン軍縮会議の際、領土拡張モードになっていた
日本政府や国民に対し、小欲にとらわれて他国を侵略するより「一切を棄つるの覚悟」を持って世界に模範を示せという考えを
発表、朝鮮、台湾、満州を手放し、大陸から手を引く大戦略を掲げた。時代の本質を見据え、ちゃんと算盤もはじいたものだった。
どれだけ厳しい環境でも理想を掲げ、言うべきことを敢然と言ってのける。その構想力と、論旨明快に訴える力を学びたい。

【禎久】 独立自尊の欠落は、外交・安全保障だけでなく、日本財政の危機的状況の原因ともなっている。政治家も国民も
ポピュリズムに流され、受益世代が負担するという自立心を失い、平気で子々孫々につけ回しを続けている。率直に言えば、
放漫財政の極まった日本はいずれ破綻を迎える。もはや避けようがない。大事なことは、いざその時になって慌てふためき
右往左往するのではなく、ダメージを最小限に抑え、日本経済復活の可能性を残すために、打つべき手立てをあらかじめ
用意しておくことだ。ここもまた、湛山が戦争末期の1944年10月、大蔵省の中に「戦時経済特別調査室」を起ち上げさせ、
敗戦後の国家経営について研究したのに習うべきだ。

【元久】 同感だ。今の日本は・・・