刑法において錯誤が問題になるのは
故意の成立が問題とされる場合に限られるから重要と述べたのです。
本件、国沢氏が主観的に認識した事実(喫茶店の管理するコンセントで充電した)
と現に発生した客観的な事実(喫茶店の管理するコンセントで充電した)は一致
しますから、事実の錯誤はありません。
一方、法が違法であるとする行為を国沢氏だけが違法でないと誤信し間違った評価
を前提に行為をした可能性がありますが、これは違法性の錯誤です。

判例では、事実の錯誤は故意を阻却するが、違法性の錯誤は故意を阻却しないと
されているので国沢氏の行為は故意であると判断される可能性が高いと推定され
ます。