「普通の主婦が、人を殺めて服役中の無期懲役囚と文通をする。しかも、高校生の娘や中学生の息子にも文通を勧めて、その無期懲役囚から勉強方法を教わる−。
一般には考えられないことを、私たちは四年以上も続けています。今では、主人も含めて家族みんなが、刑務所からの手紙を楽しみに待つようになりました。」
こんな出だしで、この書は始まります。タイトルは「勉強法」となっていますが、勉強に限らず、能力を開発するための方法が書かれています。
また「How to 本」というよりもエッセイ的な内容です。
美達大和氏は向上心が非常に高く、「自分の持っている力を使い切らないのは自分への裏切りだ」「自分が決めたことは自分との約束だから、絶対にやり切る」という信念を持ち続け、
一日に三時間半しかない自由時間に月100〜200冊の本を読み、本の原稿を書き、筋力トレーニングをするという大変な努力家で、「その一分一秒も無駄にしない生き方には、頭が下がります」と山村さんは述べています。

「勉強は何のためにするのですか?」という問いに対し、美達氏は次のように答えています。
世の中は楽しいこと、好きなこと、簡単なことばかりではありません。そのようなときに、「何にでも平然と取り組める、解決できる、忍耐強く続けられる」という能力を養うための訓練が勉強なのです。
目標を達成する過程の中で、様々な能力が鍛えられます。記憶力、論理的思考力、忍耐力、持久力などですが、「自分は諦めずにやり遂げたんだ」という成功体験も手に入ります。
この成功体験の積み重ねが、揺るぎない自信となります。

知識や教養というのは、それを知っているからこそ使えるものであって、知らなければ「必要ない」と感じるものだと知っておいて下さい。
知識や教養がない分だけ、世界が狭くなります。

人間には数多の能力や可能性が眠っているといわれます。これは真実です。
努力もしないで、初めから「どうせダメだ」と思う人の能力や可能性は眠ったままで一生を終えることになります。

人間の成長は右肩上がりと考えがちですが、あるレベルからフラットになります。このときに諦める人が大半です。
しかし、ここで熱意を失うことなく続けると、ある日、力が伸びます。勉強もスポーツも同じです。
伸び悩んだ時に「今に見てろ」と頑張ると、ある日いきなりグンと伸びる瞬間が訪れます。諦めずに正しいやり方を続ければ、絶対に伸びる日が来るのです。

IQは、結晶性知能(言語性知能)と流動性知能(動作性知能)に分けられます。流動性知能は新しい仕事、場面、状況に対応する能力で、生まれつきの知能とされています。
結晶性知能はどれくらい知識があるかを表し、努力や学習の積み重ねの結果、年齢に関係なく向上するものです。物事をよく知っている、博学と呼ばれる人は、この結晶性知能が高い人ということです。
世の中の基準でいう「頭のよさ」は結晶性知能であることが多いのです。結晶性知能は努力でいくらでもアップできます。

時間には種類があります。''1. 一時間以上のまとまった時間 ''2. 30分程度の時間 ' '3. 10分未満の細切れの時間 となります。
ポイントは、''3.の時間の使い方です。暗記などは、この時間を上手に使えば、''1.や''2.と同じような効果を発揮しますよ。

「○○になれたらいいな」ではなく、「必ずなる」という考え方をして下さい。
家族や周りの人に宣言して下さい。人間の取り組み方や業績は、目標に対する決意の深さや強さに決まるということを胸に刻んで下さい。
苦しいときに淡々とやるべきことをやり抜けば、目標は必ず達成できます。うまくいかないとき、疲れたとき、大丈夫だろうかと不安になった時こそ、次のレベルに上がるタイミングだと考えて下さい。
自分で夢なり、希望を持って、それを実現しようと頑張ることは大変ですが、反面、楽しく充実したものです。苦労が多いほど喜びも大きく、自信もつきます。
「もうこれ以上はできない」というくらいやってみて下さい。その姿勢が、未来へとつながるのです。
99.99%の人は自分に甘いのです。自分の弱い心と戦い、苦しみ、悩みながら頑張っている人の方が多いのですよ。
そうして、少しずつ強くなっていきます。