>>89
自然科学と人文科学と社会科学は区別される。
とりわけ法学・政治学・経済学を包含する社会科学は、条件が複雑なので、学者の主観が入り込む可能性が高い。
それらを完全ではないにしても幾らかでも自然科学のように客観性に接近させていくのかが課題である。僕の問題提起はその点にある。

ついでに今回の件と共通点を見いだせる一つの裁判例を挙げておく。
行政の通達によって非課税とされていた物品を新たに課税物件として扱うことの可否が裁判で争われたことがある。
これについて最高裁は、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものであれば違憲ではないと判断している。
当然のことである。
これは憲法解釈にも言えることで、解釈の変更そのものが問題なのではなく、(過去にもこうしたことは行なわれている。)新解釈が憲法に違反するかどうかが問題なのである。
その点が分かっていない学者が多いのが実情である。
そして、違憲性を主張する者に立証責任があるのが原則である。
そうした責任が果たされていないので、説明責任を果たしている参考書とは比較にならない。

あと、既に述べているように憲法学者の意見は割れている。
長尾教授の他に伝統的京大学派の立場からは肯定的だろうな。もちろん他にもいる。