言葉の意味というのは変遷する。法学用語の主権もそうだったわけ。
現在の一用法が原義に反するからといって、その概念が法的概念ではないとは言えない。

そもそもなぜ美濃部が主権の沿革を論じているか。
統治権や最高機関の所在が法的概念であることを否定するためじゃありません。
統治権の最高独立性を表す主権が、統治権や最高機関の所在の意味で用いられることとなり、
それがために統治権を最高独立であるべきという思想が出てきた。
それを正すのが目的である。