>>99
<正しくない混ぜ声・間違って誘発された混ぜ声>

> 困ったことには、両方の声区は、適正にも不適正にも融合させることができるのです。不適正な
>融合はどうしても避けたい融合です。

> 間違った声区機能の融合は、生まれつきの場合と、後から身についた場合とがあります。声区の
>“ブレイク”(換声点)をどうにかしようと性急に努力したために起こる場合もありますが、ほとんどは、
>生まれながらの限界のためと考えていいでしょう。

> この状態にある声は、声区が別々に分けられ、個々に発達させられるまでは、強化したり、音質を
>改良したり、あるいは声域を広げようとする過程には入れないので、それだけ大きなハンディキャップを
>負わされていることになります。

> 強引に声を滑らかに結合しようとして、自ら間違った融合を誘発してしまった声区関係、こうした
>状態の歌手を指導することはほとんど不可能です。ギャップを埋めるために要した練習の繰り返しで、
>ほとんど取れないような癖をテクニックの中につけてしまっていて、常に決まったひとつの音質の音しか
>出せなくなっているからです。さらに困ったことには、その音は決まって耳障りな音なのです。
  『ベル・カント唱法―その原理と実践』(コーネリウス・リード/音楽之友社)